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命名のタイミングは?

伊福部昭公式ホームページの中の石丸基司さんのエッセイで、伊福部昭の弟子、芥川也寸志が曲のタイトルは

「自分の赤子の顔を見ないと命名が出来ないのだから、脱稿してからの命名する」

と語ったことを紹介しています。
私は自分の子の名前をおなかの中にいる時に考えていましたが(笑)、曲に関しては芥川也寸志と同じスタイルの方がやりやすいです。でも、言葉からイメージを膨らますこともあります。
石丸さんは音楽の表現できる内容は「音楽」でしかないのだから、タイトルをつけるのは変だという考えも書かれています(前奏曲、即興曲の何番とかいうのはOKだそう)。
私も音楽で表現できるのは「音楽」なのだと思います。でも、タイトルがあってもいいじゃないのという考えです。大切なのは感動してもらえる曲かどうかということで、人間だって名前がその人のすべてを表しているわけじゃないし。

リズムのちから

芥川也寸志の『音楽の基礎』は、普通の音楽理論書と少し違って作曲家の視点で書かれていておもしろいと思います。この本の中で、リズムについて次のように書かれている部分があります。

心臓の鼓動に象徴されるように、リズムは生けるもののしるしであり、音楽におけるリズムもまた音楽全体を支配する生きものである。

リズムは生命に対応するものであり、リズムは音楽を生み、リズムを喪失した音楽は死ぬ。リズムは音楽の基礎であるばかりでなく、音楽の生命であり、音楽を越えた存在である。

私も児童館で小さな子どもたちと音楽を通じて接しているうちに、リズムの影響について考えるようになりましたが、芥川也寸志もリズムについてはかなり重要視していたようです。
曲を弾いていて、旋律や和音は静的な感動を与えてくれるのに対し、リズムは動的な、もっと原始的な感動を与えてくれるものだと感じます。

 

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