10月の終わり、夫の仕事に同行し、再び能登、黒島町へ行ってきました(前回はこちら)。
今回はクライアントDさんも一緒で、黒島町の物件の持ち主や地元工務店、役所の人と会うのが目的でした。
ちょうどアートフェスをやっていて、この町の良さを生かしつつ盛り上げていこうと今回の企画をされている人ともお会いしましたが、ここにはこの小さな町の魅力に惹かれたアーティストが集まってくるようです。
Dさんも目の前に広がる海と空や統一された街並みなどに魅了されたようです。
それと、Dさんの友人夫婦がすでに移住をしていたというのも、ここに拠点を持とうと決めた理由の一つのようです。
夜は、その友人夫婦の家にも招いていただき、夕食をごちそうになりました。こちらの家も、外観は街並みに合わせて修繕し(黒島は国の重要伝統的建造物群保存地区で瓦は黒、外壁は下見板張りで統一されています)、中は100年以上前のそのままの部分を残し、大事に使われています。奥さんは日本人の写真家、だんなさんは長く日本に在住されているドイツ人です。
だんなさんは陶芸、漆器、日本料理その他日本の伝統的なものに造詣が深く、夕食は精進料理のような創作料理をこだわりの器にのせてふるまってくださいました。和食は京都でも学んでいたそうですが、料理は即興で、二度と同じものは作らない(作れない)そうです。
野菜のうまみを生かしたやさしい味付けで、それを感じ取ることに皆集中し、繊細な味というのは食べることに改めて向き合わせてくれるものだと、皆でしみじみしました。初めて会ったけれど、食べることを通して、食べることの幸せを共に感じ、またそこからつながるような大切にしたい価値感(五感など)などについても話し、食事会は4時間以上に及びました。
私たちが滞在した宿も、黒島町の中にあり、立派な建物でした(前回見学はしました)。さすが輪島で、漆塗りが美しい。
こちらは蔵です。
前回の宿はこちら(黒島町の宿)
これらの宿を運営されているのも、何年か前に黒島に移住されたご夫婦で、移住希望者と地元の人々とのコーディネーター的なポジションで活動されています。
夫は京都で町家の改築に携わってきており、古いものを残すことの価値とその難しさや課題にたびたび直面していて、そのことについてずっと話をしてきています。
夫の仕事を通して偶然知った黒島という町とその再生に取り組んでいる人たちとの出会いは不思議な縁だなと思っています。今後どんな風に展開していくのか、興味深いです。