何年か前、『アルド・チッコリーニ わが人生』(パスカル・ル・コール著/全音楽譜出版社)を読んで、とても印象に残っている箇所があります。
アルド・チッコリーニが5歳で初めてピアノを習った時の先生が言った言葉です。
「アルド、綺麗な音を出して頂戴! 私に美しい音を下さい! とても表現力に富んだ麗しい音の調べが欲しいの」
ちょっとショックなくらい、感心しました。レッスンを始めた時から、自分の出している音を意識させるとは、とてもすばらしいことだと思いました。
私の子どもの頃の経験ではあまりそのようなことはなく、ちゃんと弾けるまでなかなか次に進めないという、どちらかといえば技術的な面について厳しかった記憶があります。ある程度弾けるようになってから、表情をつけていくよう指導されていたような。記憶はあいまいですが。
私が美しい音に目覚めたのは、きれいな音の生演奏で感動して、そういう音で弾きたい!と思ってからですね。確か。
前回書いた『ピアニストならだれでも知っておきたい「からだ」のこと』は、ざっと読み終えましたが、ピアノを弾くのによりよい腕のポジションや、背中などへの意識とか、いくつかこれはいつも意識しておこうという点を再確認。
この本には、ピアノのマッビングについても書かれていますが、身体のこと、ピアノのことを知り、そして耳を澄ませて音を「聴く」ことが、より良い音を出すために大切なことでしょう。
これからも、美しい音をめざして修行を続けます!
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