月別アーカイブ: 2019年3月

即興演奏についてなど

「すごいジャズには理由(ワケ)がある」(岡田暁生・フィリップ・ストレンジ著/アルテスパブリッシング)の一番最初にビル・エヴァンスの言葉が紹介されています。

ジャズとは一分の曲を一分で作曲することである。

なるほど。

改めて考えてみればすごいことですね。でも、同時にこうも思います。もしビル・エヴァンスが1分の曲を1時間かけて作曲したら?本人的にはどっちがいい曲になるだろう。もしかしたら、即興の方がいい曲かもしれない。完成度が高くて、どこも触る必要がなくて。でも、1時間あれば、ここをこうしてみようかなとか、また試してみることができる。あれこれやって、やっぱり最初のがいいとか。ショパンは即興が得意だったらしいけど、それを思い出して記譜するのが大変だったとジョルジュ・サンドが言っていたと確かどこかで読みました。

ジャズに限らず色々なピアニストの即興演奏の動画を何度も見ていますが、いつも感じるのが、聴衆が今から目の前でどんな曲を弾いてくれるんだろうという期待に満ちた様子をしていることです。そして演奏中もとても興味深げに耳を傾けている。即興演奏の醍醐味は、目の前でが曲が作られているということではないかと思っています。

私の場合、どう考えても時間をかけて作った方がいいに決まっているのですが、それでも少しでも素敵な即興演奏ができればいいなと思っています。今の所、こっそりBGMの合間にちょろちょろっと弾いたりという程度です。即興演奏しますと言って弾ける日が来るかはわかりません(笑)。

昨年末からジャズピアノの先生(でもジャズじゃない作曲もされている)の所に行きだしたのは、頭の中にある音楽をもっとうまく引き出せないかなという抽象的な願望があったというものあります。先生としてもちょっとどうすべきかわかりにくかったと思います。とりあえずジャズのレッスンですからスタンダードなどを弾いて行く中で、自分の目標に近づくために何をしたらいいかということが少しずつ見えてきて(それはジャズを弾くことでなくて)、自分に課す課題が増え、しばらくはそれらに取り組んでいきたいと思い、レッスンはストップすることにしました。回数は少なかったのですが、先生との会話やレッスンの中で、色々と気づくことができたので感謝しています。

この本の帯にジャズピアニストの南博さんの言葉が紹介されていて、その中に

ジャズ、クラシック、ともに語源は曖昧です。分け隔ての分岐点は、あなたの感性の中にあるのです。

と書かれています。

普通ジャズが弾きたいと言って習いに行くと、ジャズのルールを教わります。当たり前だと思いますが、私の中ではすでに結構色々な音楽が混ざっている、曲も作ってるから、やはりあまりそのルールにとらわれても仕方なくて、ただここ何ヶ月かで、よりジャズとクラシックの両方(さらに他にも?)を行き来できるような感じというのが、なんとなくわかるような気がしています。多分。

「憂鬱と官能を教えた学校」(菊地 成孔,・大谷 能生著/河出書房新社)もジャズやクラシック、民族音楽と横断していて面白い。音楽を俯瞰してみると、一つのジャンルの中にいたらわからないことが見えてくると思います。

たくさん見つかった課題に取り組んで、さて、思うようにいくかそれはわかりませんが、そうやって続けていけばまた何か面白いことがあるでしょう。

ベビサポ広場で弾きました

昨日は中京区役所で行われたベビサポ広場でピアノを弾いてきました。毎月のじゅらく児童館の「ピアノに合わせてあそぼう」担当の聚楽保育所の保育士さんが、ベビサポ広場を担当されている日で、少し前に声をかけていたただき、弾かせていただくことになりました。ベビサポ広場の部屋にはグランドピアノが置いてあり、ぜひ弾いてくださいと提案してくださいました。ベビサポ広場は時々中京区の新聞で見かけていますが、赤ちゃんと親御さんのための様々なイベントをされています。

今回、ピアノ伴奏でみんなで歌ったり、演奏があったりということは皆さんにはあらかじめ知らされていませんでしたが、最初に保育士さんが説明してくださるとお母さん方は好意的に思ってくださったような感じでホッとしました。このイベントでは最初に参加者の方々が自己紹介をされるということで、今回はその際、何かお子さんと音楽の接点などがあればお聞かせくださいと保育士さんが促されました。私も皆さんの輪の近くに座って、興味津々で聞いていました。参加者の方々は特に音楽を目的として来られているわけではないので、どんな感じだろうと思ったのです。そうすると、何かしらうちの子はこういった音楽に反応するとか、こういう音楽が好きとか、それぞれあって、皆さん我が子と音楽の関わりについて関心を持たれているようです。とても参考になったし、より詳しく知りたくて、オルゴールの音が好きという人には、どんな曲ですか?と聞いたり、モーツァルトが好きという人には、弦楽器ですか?ピアノですか?と聞いたり。自己紹介コーナーで少し盛り上がったところで、いよいよ音楽の時間となりました。音楽に合わせて赤ちゃんとお母さんが触れ合いながら歌うふれあい遊びをしたり、童謡を歌ったり。

その様子を見て、みんなで一緒に歌ったり体を動かしたりしていると、自然とほのぼのと一体感のようなものが生まれ、やはり家ではできない体験になるのではと改めて思ってそういう話もしました。お母さん方は、音楽は何か子どもにとって良い影響があると思っていらっしゃるように感じました。

それらが一通り終わった後、ピアノ演奏をしました。保育士さんは打ち合わせの時、ミニコンサートをと提案してくださったのですが、今回はピアノのことはお知らせしていなかったので、BGM演奏ということにしてくださいとお願いしていました。もともとこの後半の時間帯は親御さん同士がおしゃべりする時間ということなので、邪魔にならない程度に弾いて、興味のある人は聴いてくださればいいし、おしゃべりしたい人はおしゃべりしてもらったらいいしという感じで。

それで、先日の子育て講演会に合わせて編曲した「春の曲メドレー」やオリジナル曲などを弾きました。途中、私が弾いている横に赤ちゃんを抱っこしながらやってくるお母さん方もいらっしゃり、最後も私の曲に合わせて赤ちゃん抱っこしてゆらゆら揺れてるお母さん方がピアノの周りに何人かいらっしゃって、とても満たされた気持ちで弾いていました(笑)。後から思うと、コンサートと言ってやっていれば皆さん座ったままじっと聞くことになっていただろうけど、BGM演奏で自由な感じにしていたので、興味のある人は近くに来て聴いたりしていただけたのかなと思います。

お子さんが初めてピアノの音を聞くと言われるお母さんもいらっしゃり、その他好意的な感想を色々いただき、よかったー!と思っています。柔らかい音色のするピアノで、弾き甲斐もありました。

前後しますが、3月4日の聚楽保育所でやらせていただいた子育て講演会でも、お話の他、演奏や手遊び、歌などをやって、その後のアンケートで、演奏を聴いて癒されましたとか、お子さんが楽しそうにしていましたなど、うれしい感想をいただきました。

私は自分が弾いてるだけでも幸せですが(笑)、やはり少しでも何か感じていただけたり、喜んでいただけるのが何よりもうれしいです。モチベーション上がります!皆さんのお言葉を糧に、今日も弾く!(笑)。