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『ミシェル・ルグラン自伝』から少し

前回の記事からずい分日があきましたが、その後、『ミシェル・ルグラン自伝』([著]ミシェル・ルグラン/[共著]ステファン・ルルージュ/アルテスパブリッシング)を図書館で借りました。ところが、なかなか読む時間がないまま日が過ぎ、もうすぐ返却日がせまってきているので、また借りなおすかもしれませんが、とりあえず前回引用した部分

「もっとも重要なのは、永遠の初心者でいられる能力である」

のあたりだけでも読んでおこうと探しました。多分最後の方じゃないかなと思ってページをめくっていると、やはり最後の締めくくりの部分にありました。

「私の創作への原動力となるのは、アカデミーの燕尾服ではなく、好奇心あふれた精神と即興性、そして音楽自体の豊かさと多様性だ。

そしてもっとも重要なのは、永遠に初心者のままでいられる能力である。

人生のもっとも美しい瞬間のひとつは、なにかを発見する瞬間であり、なにかを学ぶ瞬間だ。」

改めて、共感できます。

また、もう少しページをさかのぼると、面白いなと思う部分があったので、ついでに引用させてもらいます。ミシェル・ルグランが20歳の時、パリに来たイーゴリー・ストラヴィンスキーと話す機会があり、勇気をふりしぼって質問をしたということです。

「「先生、ピエール・ブーレーズが《春の祭典》を分析した本をお読みになりましたか?」

彼は微笑んで、軽いロシア訛りのあるフランス語で答えてくれた。

「読んではいない、ざっと目を通しただけだよ。彼は私の作曲を自動車の構造のように完全に分解して、どのフレーズが意図的に、どのフレーズを逆さにした対位法になっているかを説明している。わずかな転調、微細なテンポの変化にも、私が自分では考えたこともなかったような秘密の意図を見つけ出してる」

やや間を置いて、彼は付け加えた。

「これは覚えておくといい。本物の創作者は、自分が何をしているか、けっして自分では分からないものだよ」

なかなか面白いエピソードだと思います。そして、それを聞いたミシェル・ルグランは、

「この言葉は私に啓示のような効果をもたらし、私の人生を照らしていくことになる。このときから、私は十六分音符ひとつひとつの存在理由を気にする必要はないと悟った。疑問や孤独にかかわらず、自分の直感を信じて思い描いた通りの道を進むべきだ。」

全く次元の違う人たちの話ですが、私も勇気づけられました!!

自分の道を行くしかないですが、やはり時々不安にもなりますからね。

この記事を書き終えてないまま、本を返しに行きました。今回はなにも予約してないから、何か新しいのあるかな?と音楽関係の本棚を眺めていると、これまで読んだことのある本のタイトルが目に入ります。それぞれのタイトルを見ると、読んだ当時の自分の心境や、何を求めていたのかなどが思い出されます。そして、今はそのことについては、もう自分なりに納得できたからもういいかなという気持になっている事柄もあって、時間の流れを感じます。他の図書館から取り寄せてもらって読んだ本もたくさんあるから、ずいぶんと図書館で勉強させてもらったなと思います。そんな中から、この本は保存版だと思ったら買うのですが、買うとなぜかあまり読まないのですね。なので、買うのに慎重になってしまう。(^_^;)

他の本棚も見て回って、今日は詩集を借りてきました。何かまた新しい発見があるかなと楽しみです。

 

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