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ちょっと気になる映画音楽

『亡命ユダヤ人の映画音楽』(高岡智子著 ナカニシヤ出版)で、コルンゴルトという作曲家のことを知りました。エーリッヒ・ヴォルフガング・コルンゴルトはシェーンベルクと同じユダヤ人で、同時代で、同じようにヨーロッパからアメリカに亡命したクラシックの作曲家ですが、映画音楽の分野で活躍した人です。

この本によると、コルンゴルトは8歳で歌曲、9歳でカンタータをひとりで作曲して、マーラーに弾いて聴かせたら、マーラーが感激して叫び、ウィーンで「モーツァルトの再来」と騒がれたそうです(同じヴォルフガング!)。モーツァルトはお父さんも音楽家で教えてもらっていたのと比べると、子どもがひとりで作曲って??すごすぎる!
ハリウッドの映画が無声映画からトーキー映画に変わる時代で、シェーンベルクにも映画音楽の作曲依頼はいくつもあったようですが、結局映画音楽は作らなかったということです。でも映画は嫌いではなく、チャップリンとも仲良かったらしい。

映画音楽の作曲家といえば、エンニオ・モリコーネが『ニュー・シネマ・パラダイス』などで有名だと思いますが、ずっと昔にこの映画を観たことがあるものの、あまり覚えてないので先日予告編をユーチューブで観たら、号泣(笑)。映画のムードと音楽の両方のせいかな? 3時間完全版を借りて観るか悩むところです(予告編で号泣ですから(笑))。

6月初めに、ちょうど無声映画と生演奏を組み合わせた素晴らしいシネコンサート(『笑う男』)を鑑賞してとても感動しましたが(無声映画の時代は生演奏だったらしい)、この時も映像と音楽の相乗効果のようなことについて考えました。ずいぶん泣かされましたから(笑)。
この本はまだ半分ほどですが、作曲の手法や現代音楽と映画音楽の比較や色々興味深いことが書かれていて思っていた以上におもしろい。図書館で借りた分厚い本は、部分読みだったり、思っていたのと違って
読まなかったり色々ですが、この本は全部読むかも。映画音楽は今まであまり気にとめてなかった分野ですが、なかなか興味津々です。

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モーツァルトの方法

『音楽は対話である』(ニコラウス・アーノンクール著)の中の「モーツァルトは改革者ではなかった」の中に次のような記述があります。
「かつて一度も聴いたことがなかったような、そして存在したことのなかったような音楽技法上のものを、新たに発明したり、用いたりすることなく、モーツァルトは同時代の作曲家と全く同じ媒体を使って、他に比べることのできない世界を音楽の中で表現したのであった。これはまさに謎ではないか。説明することも、理解することもできない」
現代はモーツァルトの時代に比べ、はるかに何もかも出尽くした状況だと思いますが、この考察の中に創作のヒントがある気がします。

映像と音楽の強力なコラボでした

今日は知り合いの方が、シネコンサート『笑う男』(ヴィクトル・ユーゴ原作)のチケットをくださったので(夫の分まで!)、京都府民ホールアルティまで行ってきました。
今回興味そそられたのは、フランス八重奏団による演奏です。1928年に映画化されたこの無声映画に合わせて音楽を作ったのは、今回の指揮者であったことを後で知りました。
1998年にカンヌ映画祭で初めて公演されたということです。
これほど強力な映像と音楽のコラボレーションを鑑賞したのは初めてです。映画には音楽はつきものですが、生演奏は全然違う! 曲も素晴らしくて(約2時間シーンに合わせほぼ続けて演奏!)物語に引き込まれながらも何度も「美しい音」を意識せずにはいられませんでした。
映画だけでも感動するのだと思いますが(泣ける)、音楽の心理への影響はきっと大きいのだろうと感じました。途中、ハンカチを出しティッシュを出し、もう大変でした(笑)。
作品の情報も先入観もほとんどなしに鑑賞して、深く深く感動しました。