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声楽コンサート

三橋桜子さん、パブロ・エスカンデさんご夫妻からご案内いただいたコンサートに行ってきました。新しく結成された声楽アンサンブル”Vox-Lux(声の光)”のコンサートです。場所は京都府立府民ホールアルティ。
メンバーはパブロ・エスカンデさん(指揮)、三橋桜子さん(オルガン)の他、歌手8人とチェリスト。ユニークな編成だと思います。

曲目はバッハ、タリスなどの作品と日本の古い歌(パブロさん編曲)。

今回のプログラムで特に面白かったのは、タイトルや作曲家を知らされず3曲の演奏を聴衆が聴き、どの曲が現代でどの曲がルネッサンス(16世紀頃)かあてるというものです。1曲がルネッサンス。どれも宗教音楽の雰囲気ですが、私ははずしました。一番モダンに感じた1曲がルネッサンスの曲でした。3曲の中で一番印象に残りました。

パブロさん編曲の日本の歌(ちんちん千鳥、宵待草、待ちぼうけ)もよかった。素朴なこれらの歌をどのように編曲されているのか興味深く聴きました。やはり日本語の歌は親しみがあってほっとする。

今日の歌手は8人(ソプラノ2人、アルト2人(そのうち1人がカウンターテノール)、テノール2人、バス2人)でしたが、ハーモニーがとても美しく、倍音が豊かに響いている感じがしました。声色の無限と思えるバリエーションを聴いていると、楽器ではできないことだなと改めて思います。声の威力はすごい!

お二人のコンサートはいつも独特で、今度はどんな工夫を凝らされているんだろうといつも楽しみです。今回も内容の濃い、楽しいコンサートでした!

懐かしい合唱曲

実は中学の時、合唱部でした(そんなに声でないんですが)。
部員は兼部の男子も含めて100人くらいの大所帯でした。合唱は学校でちょっとしたブームでもあったように思います。今でもNHK合唱コンクールの曲やいくつかの合唱曲を覚えています。
1度だけ毎日放送かどこかのコンクールに二重唱で参加しました(私はアルト)。一緒にもう一組三重唱で参加した仲間もいました(私、伴奏した気がするけど記憶があいまい)。その時の音源がテープに録音してあってその後何度か聞いていますが、さすがに古くてテープが伸びてしまって多分もう聞けない(-_-;)。
歌は覚えているんですが、あの曲のタイトルは何だっけと気になって、出だしの歌詞で検索したら見つかったからインターネットってやはりすごい!
『秋の歌』なんですが、なんとメンデルスゾーンの曲で日本語訳は吉田秀和さん! 知らんかった(忘れたのかも?)。吉田秀和さんと言えば、貴重な『モーツァルトの手紙』を翻訳した音楽評論家。
三重唱の方は、『遥かな友に』。これは日本の歌で、磯部俶さん作詞・作曲(1951年)。
Youtubeにももちろん、あります。
『秋の歌』
すごい、私たちが歌った同じ曲とは思えない! 私たちはもっとゆっくり歌いました。日本語で。
『遥かな友に』
YouTubeは男声合唱。友だちは女声三重唱でした。なんか、泣けますね、この曲。じわーっときます。
美しいハーモニーは、曲を作る時いつも意識することですが、声楽のハーモニーの溶け合う魅力はまた格別な気がします。
曲のタイトルが思いだせて、またすばらしい歌もYouTubeで聴けて、よかったです。

音律について少し

清水敬一さんの『合唱指導テクニック』(NHK出版)という本に次のように書かれている部分があります。
「無伴奏合唱は三和音で純正律を響かせられるすばらしい媒体ですが、古い作品でも旋律的にはピタゴラス音律が向いている場合もあります。音律の問題に全てを満たす正解はなく、研究者の言葉「矛盾と妥協の美学」は見事な言い回しです」
そしてフランス人のチェンバロ奏者が言った「最もすばらしいのは人間の耳の補正能力!」という言葉を紹介し、著者は自分の言葉に少し変えて「人間の脳の補正能力」と言っています。
まとめると、音律の問題に全てを満たす正解はないけれど、すばらしい人間の耳(脳)の補正能力によって、微妙な響きの違いも気にせず(気づかず)音楽を楽しめるということになるでしょうか。
音律については色々な話がありますが、「全てを満たす正解はない(何の問題もない完璧な音律はない)」という言葉にとても納得し、また人間の脳の補正能力もすばらしいと思います。