月別アーカイブ: 2019年7月

視点を変える力、共感する力

『デンマークの親は子どもを褒めない』(ジェシカ・ジョエル・アレキサンダー/イーベン・ディシング・サンダール著/鹿田昌美訳/集英社)の「Reframing 視点を変える」という章からです。

多くの人は、物の見方を「無意識に選んでいる」ことに気づいていない。自分が見る世界が真実だと思っている。自分にとっての真実、物の見方が、学習によってもたらされた視点(多くの場合は親や文化から受け継ぐ)だとは考えない。単に「当たり前」だと思う。この「当たり前」の設定を「フレーム」と呼び、フレームを通して見た世界が「あなたの物の見方(視点)」である。人は、自分が真実だと認識したことを真実だと感じるのだ。

一人一人が違うフレームを持っているということを認識できれば、他の人をより理解したり、受け入れたりできるのだと思います。

また、別の章に「Empathy 共感力」というのがあります。

エンパシーとは、他人の気持ちに感情移入できる力、共感力のこと。その人の感情を理解するだけではなく、気持ちに寄り添うことだ。

世の中のもめごとや摩擦の多くが「視点を変える力」と「共感する力」が足りないために起こっているのではないでしょうか。視点を変えることができれば、共感できる部分が増えるかもしれない。この二つのことはつながっていると思います。そういったことが基礎にあれば社会はもっと寛容で居心地のいい場所になるのではないでしょうか。

子どもの頃から、視点を変える力、人の気持ちを想像してみる力を養えるよう、大人との会話の中で気づかせてあげられることが大切なのだと思います。

 

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『デンマークの親は子どもを褒めない』を読んで

『デンマークの親は子どもを褒めない』(ジェシカ・ジョエル・アレキサンダー/イーベン・ディシング・サンダール著/鹿田昌美訳/集英社)という本を読みました。今年のイベントに備え、資料を検索していてたまたま見つけました。褒め育てがいいのか、そうでないのか、ということよりも、副題の「世界一幸せな国が実践する「折れない」子どもの育て方」という方にとても興味を持ちました。著者のジェシカさんはアメリカ人で作家で、イーベンさんはデンマーク人で心理学の専門家です。ジェシカさんはデンマーク人と結婚し、アメリカとデンマークの子育てに対する考え方や価値観の違いに衝撃を受けたということです。アメリカでは若いうちから心が折れる人がどんどん増えているということで、子育ての重要性をもっと認識せねばという強い思いを持っておられます。

私は常々、子育てというのは、小さなお子さんのいる家庭だけが抱えるというものではなく、社会が関心を持って、社会で支えていくという意識があっていいと思っています。なぜなら、子どもはみんな大人になり、社会を動かしていく人たちになるからです。子育てに悩みを抱える人が増えているならば、それは社会の問題がそういう所に表れているということかもしれません。私が子育てしていた時は、そこまで考えていませんでしたが、児童館などに通うようになって、子どもに関する本なども読む機会増え、そのことについてより関心を持つようになりました。

この本の序章にはまず、次のように書かれています。

子育ての基盤となるデンマーク的な思想と子育てスタイルが、「レジリエンス(折れない心)を持つ情緒が安定した幸せな子ども」という素晴らしい結果を生みだしている。そして彼らが「レジリエンスを持つ情緒が安定した幸せな大人」へと成長し、ふたたび同じ子育てスタイルで子どもを育てる。

子ども時代はやがて大人になる基礎を形成する時期だから大切ですよね。先日ブログ記事に「長い目で見れば、心が成長し、内面が充実し、精神的に安定していくことがその後何をやるにも支えとなるのだと思います」(「子どもと音楽について考える」より)と書きましたが、これは以前からの私の考えです。

この本には「折れない心」を育てるための考え方がいくつかのテーマに沿って書かれていますが、まず最初は「遊び」の大切さについてです。

デンマークの親や教師が重視するのは、社会性、自主性、団結力、民主性、自尊心。

それらを育てるために、子どもたちが自由に遊ぶことを重視する。子どもが先生や親から干渉されすぎると、自分の内部から沸きあがる意欲を育むことができないということです。

統制の所在(「自分を応援する気持ち」「内側から湧き上がる意欲」)が自分の中にある人は、人生や身に起こる出来事をコントロールする力が自分にあると信じている。モチベーションの源が自己に内在する。一方、外部に統制の所在がある人は、人生は環境や運命といった外的要因にコントロールされており自分では変えにくい、と信じている。モチベーションの源が外部にあるからだ。

統制の所在を自分の内側に持つことによって、様々な状況に対処できる折れない心を育てることになる。そのためには子どもが自由に遊ぶ中で自らが感じ、考え、行動する力をつけることに対し、あまり干渉しすぎずに見守る必要があるというのが、デンマーク人の子育ての考えのようです。

これは、私自身の子育ての時にも考えていたことです。子育てはわからないこと、迷うことがたくさんありましたが、遊びから、自主性や創造性や協調性など多くのことを学ぶのだと、日々遊ぶ子どもたちを見ながら思っていました。

教育については色々な考え方があると思いますし、またそれぞれの家庭によって事情も異なると思いますが、特に幼いうちの「自由な遊び」は習い事や勉強に比べて無駄かと言えば、むしろそちらの方が大切なのではと思います。ただ、今どきはスマホやらゲームやら色々あって、また安心して遊べる場所が減っているなど、どうやって子どもたちを遊ばせるのがいいのか、という問題もありますよね。そういったことも各家庭の問題で片づけるのではなく、本当は社会が子どもにとって望ましい環境とはどういうものか、ある程度共通の認識を持って、それを整える必要があるのだと思いますが、ちょっとハードルが高いのだろうなというのが正直な気持ちです。でも、少しでも良い方向に向かうことを願います。

この本について続きがまた書ければと思います。

ちなみに、2016年にこんな記事を書いていました。『「遊び」は大切

興味のある方はお読みください。

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録音について

先日、大阪のスタジオ7th Noteに行って録音をしてきました。

初めてスタジオ録音したのは3年ほど前で別のスタジオでしたが、ちょっと緊張したのを覚えています。ライブではわからないような些細な部分もマイクで拾われてしまいますからね。録ったものを聴いて、やはり弾いてる時と聞こえ方が違う!と残念に思ったりしました。

その後、何か月かに一度くらい録音して、同じ日に何度か録り直しするんですが(弾いては聴くの繰り返し)、聴くたびに色々と演奏上気になる所が見つかります(オリジナルだけどどこかクラシック的な発想の影響があるような)。でもせっかく録音したからというのと、何度録り直しても自分の力不足もありどこか気になる所はあるだろうというのとで、とりあえず録ったものの中からこれはどうしても録り直しとか、作品自体やり直しと思うのを除いて、最初はYouTubeで、その後はそれに加えアルバムの形にしてtunecore経由で各音楽配信サイトより配信して今にいたっています。配信というスタイルは、その後曲を取り下げることができるので、多少気になる所はあっても早く聴いてもらいたいという気持ちでアップしてきました。

ところが今年の春ごろ、ある友人がCD(物としての)が欲しいと言ってくれて、それならばとそれ用にと選曲を始めました。選曲にも迷いましたが、物として残るなら取り消せないし、改めて聴いてみてやはり気になる部分(ちょっと乱れてるとか色々)もあるのと、配信を始めた1年以上前では弾き方も少し変わったりしていて、そのまま使えると思えるものはそのままで、それ以外は録り直した方がいいかなと考えるようになりました。

それで、先日の録音はよりこだわって、一日でたくさん録ろうと考えずに、ある程度納得いくまでやろうと思いました。それで、結局4曲しか録れなかったのですが(今までは8曲とか10曲とか)、結果は今までの中では一番納得がいくものになりました。もちろん、また日がたてばもっとこうしたいとか出てくるかもしれませんが、その時点で妥協しないということは自分の納得感につながり大事だなと思いました。ミックスについてもエンジニアさんと試行錯誤していい結果になったと思います。

8月終わりには「LIKE A GENTLE VOICE」というアルバムが更新をする時期なので、その時までに20曲ほどのアルバム(ほとんどこれまでのものから選曲してそのまま使うか録り直したもの、部分的に編曲したりしたものと、新曲少々)にして、差し替えをしたい(続いて更新時を迎える他のアルバムも更新をしない前提で)と思っていますが、こんなペースで間に合うかな?という感じはあります。ストリーミングで曲を保存してくださってる方々には、それがいったん消えてしまうという問題もあって申し訳ないのですが、そういう方向ですすめています。

CDについては、今どきはCDデッキとかで聴いている人はどのくらいいるんだろうとか思うのと、ノートパソコンなどは本体に直接CDを入れられなかったりするのも少なくない思うので、やはりネットで聴いてもらう方がスマホや他の端末でも聞けるし、お手軽でいいのかなとも思っていて、作るにしてもプレスでなくてコピーにしようかなとか、まだ決めていません。でも、友人のCD要望のおかげで、ちゃんとやり直すということにつながってよかった。でも一体いつ渡せるんだろう(笑)。

関西でグランドピアノで録音ができるスタジオはあまり多くなく、しかもお手頃料金なとこはかなり少ないです。本格的な生ピアノ録音スタジオはやはりめちゃ高いです。7th Noteさんは大変優しい料金で、助かっています。エンジニアさんも私の超めんどくさい要望に応えてくださり、本当にありがたいです!