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ノイズ・ポリューション

先日、知人のスロバキア人(日本に長年在住)とデンマーク人(オーストラリア在住)と、うち夫婦で長時間話す機会がありました(家に招待していただいて)。
様々な話題について語り合い、生まれも育ちも文化的背景もまるで違うのにその中で共感できることも多く、楽しい時間を過ごしました。

話題の一つに、ノイズ・ポリューションがありました。
私が日本では屋内外の様々な場所で、スピーカーからアナウンス、BGMなどがかかっており(同じ建物内で別々の音楽がかかっていてどちらも聞こえる状況だったり)、それが気になるという話をしたら、デンマークの彼は即座に「ヨドバシ!」(笑)、そしてスロバキアの彼女は「ノイズ・ポリューション!」と即座に反応し、同意しました。
そして「うるさいから早く買い物済ませて店から出たくなる」と。私も音が大きすぎたり、何度も同じ内容のアナウンスが繰り返されたりするところなどで同じように思います。

ノイズ・ポリューション(noise pollution)とは「騒音」のことですが、騒音と言えば、電車の音とか工事の音とかそういうものを指すと思っていました。彼女だけでなく、日本のようではない国の人からは過剰なアナウンスやBGMは騒音という認識なのかもしれません。

なぜそうなんだろうと聞かれたので、例えば「にぎやか」なことが楽しくて良いこととされていたり(アメリカ文化の影響?)、多くの家でいつもテレビをつけている(観ていてもいなくても)ために、どこへ行っても音がしている(人工的な)ことが当たり前になっているためではないかなと答えました。昔に比べ、病院や公共の場でもテレビが置かれていることが多くなっている話もしました。

京都府立植物園では広場にステージを作る計画があった(開発計画は見直されるようですがステージはどうなるんでしょう?)ことを話すと、植物園は静かであるべきだとデンマークの彼は言っていました。私もこの件について、以前書きました(京都府立植物園がピンチ?)。

音も環境の要素の一つなので、もう少し気にしてもらえたらと思いますが、今の状態が普通であまり問題だと思われてなさそうなので、変わらないでしょうね。

ピアノに合わせて遊びました

ドイツから来日&帰国中の友人夫婦(私の娘と同世代)と久々に会いました。今回初めて友人たちの1歳半の子とも会うことができました。
まずは彼らの希望の京都御苑(御所)で待ち合わせ。
いやあ、かわいい、〇〇ちゃーんと言いながら近寄っていくと、初めて見る私たち夫婦に対し、誰この人たち?という視線。当然の反応です(笑)。

その後御所の中を見学したり、梅や桃が咲いている御苑を散策したのですが、途中で犬を連れた人を見ると、〇〇ちゃんは、何か歌っている。なんと、犬のおまわりさんを歌っている。知ってるところを部分的にですが。家でも色々聞かせているらしく、何曲かレパートリーがあるということ。ドイツ人のお父さんと一緒に歌うと日本語の勉強にもなるという。彼はだいぶ日本語話せますが。私たちも一緒に歌ったりしながら、散策を続けていると、〇〇ちゃんは最初よりは少し笑顔を見せてくれるようになりました。

その後、一緒にうちへ帰り、〇〇ちゃんにピアノの演奏を聞かせてほしいという友人の要望で、まずは伴奏つきで歌ったり、手遊びなどをすることにしました。少し歌ったり振付したり(大人が)しましたが、〇〇ちゃんは静観(笑)。いつも聞いている音源や親子で歌っている時の感じとは違うことに戸惑っていたのか、周りの圧が強くて違和感があったのか?(笑)

私たちの予想に反し、すぐにピアノを指差し興味をもち始めた模様。お母さんの膝から降りこちらに来たので、試しに私が抱っこして膝にのせると弾いてみようとする。私が弾くと真似しようとする。けれども、〇〇ちゃんには鍵盤は重すぎてあまり音は出ない。すると、お父さんお母さんを順番に呼び、その指をつかんで鍵盤に落とす。するとよく音が出る。そうやってしばらく鍵盤で遊ぶ。自分で音がだせないから大人の指を使ったのか、お父さんお母さんにも弾いてほしいから呼んだのか、わかりませんが、ほとんど話さなくても何がしたいのか、身振りや視線で伝わってくる。

その後、〇〇ちゃんはお母さんのところに戻り、また私がピアノ伴奏で〇〇ちゃんの知っている曲を弾いて、皆で振付などしていると、おもちゃのチャチャチャでとうとう手拍子を真似しはじめました。やった(笑)。

それから、これはどう?と森のくまさんを弾き始めたら、〇〇ちゃんは一言「ナイン」。ナインはドイツ語で「No」。却下されてしまいました(笑)。そして、お父さんリクエストのとなりのトトロのイントロを弾き始めたら、〇〇ちゃんはまた「ナイン」。却下(涙)。歌が大好きな〇〇ちゃんも知らない曲には興味がないようです。

そんな様子から、普通の曲はどうかと思いましたが、最後にハイドンの曲を弾きました。すると、今度は最後まで「ナイン」と言われず、後で聞くと〇〇ちゃんは体でリズムをとっていたというのです。

〇〇ちゃんはその後はすっかり私たちやうちの家にも慣れてくれたようで、楽しそうに過ごしていました。

子どもは一人一人違うから、1歳半で何ができるとか、何が好きかとか一般化はできませんが、半日ほど一緒に過ごしてとても興味深かったです。散策時の様子、手遊びも含め、何かを「させよう」とすることに対し、ノーと言う。自分で決めてやりたいという意思が感じられました。それがいつ頃から始まるのか、それもそれぞれでしょうけど、言葉がまだはっきり話せないうちから子どもは意思を持ち始めるということを改めて認識しました。

毎月の児童館の「ピアノに合わせてあそぼう」でも、以前「ふれあいあそび」をやっていましたが、お母さんがお子さんに一方的に何かをする(寝転がしたり、さすったり、手足を動かしたり)ということを嫌がる子がたまにいるのでやめました。0歳児でまだ寝転んでいるうちはそうでもなくても、自分で動き回れる月齢になると自分のしたいようにしたい子も増えてくる。

赤ちゃん~子どもの様子を見守りながら、どういった音楽環境が望ましいのかについていつも考えますが、今回の経験も参考にしたいと思っています。

京都御苑ではもうしだれ桜も咲いていました。

赤ちゃんと音の世界&ミニピアノコンサート

3月16日、保育所で乳幼児向けの音楽イベントをさせていただきました。定員7組のところ、12組の参加となり、また保育所の0歳児さんたちも来てくれました。

「赤ちゃんと音の世界&ミニピアノコンサート」というタイトルは、昨年の始め、聚楽保育所の保育士さんが考えてくださって一緒に企画していましたが、まん延防止措置が延長となり中止になりました。その後、その方は別の所へ移られたため聚楽保育所での開催はなくなりました。

そして、昨年末にこのイベントの企画について知っておられた養生保育所の方から連絡をいただき、ぜひこの内容のイベントをやってほしいということで養生保育所で開催することになりました。

内容は赤ちゃんと音や音楽についての話とピアノ演奏です。

お話の方では、赤ちゃんの聴覚や音からどういう情報を得ているか、マザリーズ、赤ちゃん向けの歌はどういったものか、音楽から何を感じるか、聴覚だけでなく視覚も含めたコミュニケーションが大切であること、歌いかけの効果など、ブログにも書いているような内容を短くまとめた資料をお渡しして、説明をしました。

演奏の方は、ハイドン2曲、モーツアルト2曲、グリーグ1曲を弾きました。
ピアノはアップライトでしたが、演奏前に生楽器の音とデジタル音の違いについて話しました。普段、多くの人が耳にしている音はテレビ、パソコン、スマホなどからの音だと思いますが、できれば倍音の豊かな生楽器や自然の音などを聞いて違いを感じられるのもいいのではというようなことです。

最後は、職員さんから予想外のアンコールがあり、1曲弾きました。

イベントについてのアンケートを後で見せていただくと、皆さん、好意的な感想を書いてくださっていましたが、中でもお子さんがずっとご機嫌だったとか、体を揺らしていたといった感想はうれしかったです。

そして、保育所の0歳児さんたちがおとなしく聴いていて驚いたと付き添いの保育士さんたちに聞かされました。普段はそうでもない子たちだそうです。背中を向けて弾いていたのでそういった様子がわからず、その話を聞き喜びました。

目の前で人が演奏していて、楽器がなっているということを初めて見た子も多かったかもしれません。

お話や演奏を通して、何か感じていただけたらいいなといつも思っています。