今日は左京区松ヶ崎の松雲荘というところで行われた、パブロ・エスカンデさんと三橋桜子さんご夫妻のチェンバロコンサートに行ってきました。
チェンバロを聴くのは2回目です。1回目は大阪のいずみホールで行われた久元祐子さんのレクチャーコンサートです(モーツァルトの)。その時は、チェンバロの他フォルテピアノ、現代のピアノと並べられ、作品の時代に合わせて弾き比べのような感じで演奏されました。その時はフォルテピアノがとても興味深く感じられ、チェンバロについては少ししか弾かれなかったこともあってか、あまり印象に残っていませんでした。
今日改めて聴いてみて、ペダルは無い代わりにとても音が長く残る楽器だなと思いました。部屋は普通の和室だというのに。特に連弾で弾かれると、たくさんの音が心地よく響きます。
帰ってから調べたんですが、チェンバロはピアノに比べてはるかに多くの倍音を含んでいるんですね。それが響きの豊かさの理由だったのかな。この感じはCDなどではわかりにくいですね。なんとなく乾いたような音に聞こえてしまう。
プログラムは、前半はバロックのフランスの作曲家の作品がメインでしたが、知らない作曲家ばかり。後半はバッハ。アンコールに桜子さんが弾かれたパブロさん作曲の現代風曲は、音源だけ聞けばチェンバロとはわからないのではと思えるくらい全く違った音に聞こえるのでとても不思議でした。
今回も選曲、演奏とも独自性があってとても聴きごたえのある素晴らしいコンサートでした。
終わってから、桜子さんが弾いてみてと言ってくださるので、好奇心いっぱいで少し弾かせていただきました。最初はモーツァルトのトルコ行進曲の最初の方を弾いて、思っていた以上に弾きにくいと思いましたが、さらにゆっくりの曲を弾いてみると、ものすごく弾きにくい。チェンバロは弦がはじかれて音が出る楽器なので(お琴みたい)、鍵盤を抑えるたびに何かひっかかる感じがするんですね。それで鍵盤が上がってくるタイミングがはかりにくい。早いテンポの曲だとある程度勢いがあるのでひっかかりがまだ少ない感じがするけど、ゆっくりの曲だともうひっかかりまくってるような。ピアノを弾くのとはずいぶんとタッチを変えないとうまくいかないことがわかりました。お二人はこんな弾きにくい楽器を弾かれてたんだ! これは弾いてみないとわからないことでした。
チェンバロは倍音が豊かで強弱の表現があまりできない楽器ですが、それがその後フォルテピアノなど色々な過程を経て現代のピアノに至っていることを思い、何か感慨深いものがありました。
いつか弾いてみたいと思っていたチェンバロに触れられてとてもうれしかったですが、帰ってからピアノを弾いて、ああ弾きやすいなと思ったのでした(笑)。