清水敬一さんの『合唱指導テクニック』(NHK出版)という本に次のように書かれている部分があります。
「無伴奏合唱は三和音で純正律を響かせられるすばらしい媒体ですが、古い作品でも旋律的にはピタゴラス音律が向いている場合もあります。音律の問題に全てを満たす正解はなく、研究者の言葉「矛盾と妥協の美学」は見事な言い回しです」
そしてフランス人のチェンバロ奏者が言った「最もすばらしいのは人間の耳の補正能力!」という言葉を紹介し、著者は自分の言葉に少し変えて「人間の脳の補正能力」と言っています。
まとめると、音律の問題に全てを満たす正解はないけれど、すばらしい人間の耳(脳)の補正能力によって、微妙な響きの違いも気にせず(気づかず)音楽を楽しめるということになるでしょうか。
音律については色々な話がありますが、「全てを満たす正解はない(何の問題もない完璧な音律はない)」という言葉にとても納得し、また人間の脳の補正能力もすばらしいと思います。