『シーモアさんと、大人のための人生入門』を観て

京都シネマで『シーモアさんと、大人のための人生入門』を観てきました。これから観ようと思っている人で、内容について少しでも知りたくない(ネタバレはいやな)人は、ここでストップしてくださいね。
この映画は、シーモア・バーンスタインというピアニストでピアノ教師のドキュメンタリーです。50歳で現役コンサート・ピアニストをやめ、ピアノ教師という仕事に情熱を注いでいる人ですが、シーモアさんの生き方、考え方から多くのことを考えさせられました。映画の最中、シーモアさんが語る部分がたくさんあって、本であればもう一度読み返したいような所がいくつもありましたが、考えているうちに次に進んでいってしまう、または美しい音楽に気をとられている間に、字幕を読みそこねたりという感じで、聞きもらしてしまった箇所がいくつかあったと思います。それで、パンフレットを読んで思い返していますが、シーモアさんの演奏も含め、また観たい映画です(京都シネマは5日で終わりだから別の機会にでも)。

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シーモアさんの言ったことについて色々書こうと思いましたが、大変なので(笑)、とりあえず印象的だったことのうちの一つを書きます。
それは「答えは自分の中にある」ということです。宗教では答えを神に求めるけれど、シーモアさんの考えは「答えはそれぞれの人の中にある」ということです。これにはとても共感しますし、これは「禅」的だなと思います。
シーモアさんもたくさん悩んできて今の自分がある。この映画の監督であるイーサン・ホークも自分の悩みをシーモアさんに打ち明けた。シーモアさんはイーサン・ホーク自身の口から答えが出てくるように誘導する。
シーモアさんのアドバイスは普遍的で、音楽に関係のない人達にとっても救いとなるのだろうと思います。

音楽に対する純粋な思い、音楽で人に生きる力を与えたいという思い、優しさ、シーモアさんの人格が生み出しているような優しく美しい音楽。映画の最後は2012年に行われたコンサートですが、その時点で85歳くらい! ブラームスの間奏曲、シューマンの幻想曲、なんという深い表情のある演奏。もう、涙が出て大変でした。まわりにあまり泣いてる人いなかったけど、鼻をすすっている人はいた(笑)。私は感受性が強いのかな。でも、生演奏ではないのに泣けるのは珍しいかも。
シーモアさんは本も書いてるとパンフレットにあって、もしかしてと自分の以前借りて気になってた本のリストを見ると、なんとシーモアさんの『心で弾くピアノ』と『ピアノ奏法20のポイント』の2冊がありました! 何年も前で内容は覚えてないので、早速『心で弾くピアノ』図書館で予約しました。
観る人によって、受け取り方は色々だと思いますが、私にとっては音楽について、人生について改めて考えさせてくれた、いい映画でした。


実物はもっと優しい顔です(^^)