詩を味わいながら歌う会

今日はうちのeasy room ピアノ室で「詩を味わいながら歌う会」をやりました。部屋が狭いので定員6人にしていましたが、友だちとその他2人の計3人来てくれました。

先日、「椰子の実」についてブログ書きましたが、古い歌の詩は自然の表現が豊かで、歌い継いでいってほしいという思いをずっと持っています。今回この企画をやろうと思った直接のきっかけは、児童館の若い職員さんが「夏の思い出」を知らないと知ったことです。自分にとってはポピュラーな曲と思っていただけに、これはまずいなと思いました。

今回、夏にちなんだ曲を意識して選曲してみました。

曲目は

・夏の思い出

・ゆりかごのうた

・茶摘

・夏は来ぬ

・あかとんぼ

・たなばたさま

・うみ

・夕焼小焼

・浜辺の歌

です。

みんな福祉関係の仕事をしているけれど、歌う機会はないということでした。最初は声出ない、歌えないと言っていましたが、ちゃんと歌っていました(笑)。曲は全部知っている。

「夏の思い出」に出てくる「尾瀬、水芭蕉」、「茶摘み」に出てくる「あかねだすき、スゲの笠」、「夏は来ぬ」に出てくる「卯の花、楝(センダンの木)、水鶏(ヒクイナという鳥)」はイメージしやすいように画像を用意しておきました。

この中で特に「夏は来ぬ」(=夏が来た)が言葉が古く難しいのですが、みんなこれまであまり深く考えたことなかったと。私もあまり知らなかったので調べてみて、新しい言葉をいくつも覚えました。夏が来たことを表す自然の言葉を知って歌うと、さらに味わいがある。

夏は来ぬ 作詞:佐佐木信綱 作曲:小山作之助

1 卯の花の匂う垣根に、時鳥(ホトトギス)
  早も来鳴きて、忍音(しのびね)もらす 夏は来ぬ

2 さみだれの注ぐ山田に、早乙女(さおとめ)が
  裳裾(もすそ)ぬらして、玉苗植うる 夏は来ぬ

3 橘(たちばな)の薫る軒場(のきば)の窓近く
  蛍とびかい、おこたり諫(いさ)むる 夏は来ぬ

4 楝(おうち)ちる川辺の宿の門(かど)遠く、
  水鶏(くいな)声して、夕月(ゆうづき)すずしき 夏は来ぬ

5 五月やみ、蛍飛びかい、水鶏(くいな)なき、
  卯の花咲きて、早苗植えわたす 夏は来ぬ

  卯の花:ウツギ 卯月(4月)に咲くから
  忍音:その年に初めて聞かれるホトトギスの鳴き声
  さみだれ(五月雨:旧暦の5月頃に降る雨)
  山田:山間にある田
  早乙女:田植えをする若い女性
  裳裾:着物の裾
  玉苗:早苗 稲の苗
  蛍とびかい、おこたり諫むる:中国の故事「蛍雪の功」から、なまけずに勉強に励み
                なさいといさめるように蛍が飛んでいる様子
  楝(おうち):センダンの木
  水鶏(くいな):ヒクイナ?
  五月やみ:5月の雨が降る頃の夜の暗さ

でも、卯の花とか五月雨とか、夏というより春から初夏という感じでしょうか。

「椰子の実」もやりたかったのですが、もし知らなかったら少し歌いにくい歌かなと思って今回は入れませんでした。

これらの歌は知ってても歌うこともないし、普段は忘れてるし、思い浮かべることもないと思いますが、改めて歌ってみて、みなさん、いい歌ねとしみじみと感じ入っていました。みんなと一緒なら、イベントとして歌えてしまう。そこがいいと思っています。歌い継いでほしいという私の思いも共感してもらえたようです。

合間に、日本の音楽・西洋音楽の話、生ピアノの特性などの話をしたり、最後にリクエストを受け演奏したり、お茶もしたりして楽しくなごやかな会になりました。次もまたやりましょうという話になりました。

なんとか、少しでもみなさんが歌う機会を作っていきたいです。

たまたま見つけた動画ですが、現代風なアレンジで歌われることによって、今の若い世代にも受け入れられるといいなと思います。