音の種類とピアノの音

『楽典 音楽家を志す人のための』(菊池有恒著)の中に、音の種類について書かれている部分があります。
「音は振動(vibration)の状態によって純音・楽音・噪音に分けられる。

純音(pure tone)
強さと高さは明瞭であるが、倍音を含んでいないため音色の差はなく、機械を通して見た振動の波形は単純である。普通の楽器からはほとんど出せないが、純音に近いものとしては、時報の音、音叉の音などがある。

楽音(musical tone)
声や大半の楽器が発する音で、強さ、高さのほかに、発音体の構造によるさまざまな倍音が含まれているため音色も明瞭である。振動の波形は倍音が含まれるため複雑であるが、規則正しく繰り返される。

噪音(unpitched sonud)
強さと音色は明瞭であるが、音の高さ(pitch)は不明確である。したがって振動の波形は複雑で不規則である。物のこわれる音、ぶつかる音、打楽器類の打撃音などがこの部類に入る。ピアノやピッチの明瞭な打楽器類は、打った瞬間は打撃による噪音を発し、その直後に規則的な振動による楽音が持続している。このように噪音と楽音の同居した楽器は多い。
なお、やかましい音は騒音(noise)という。

ピアノを打楽器というのは違和感がありますが、打弦楽器とも言われるのは、鍵盤を打つ(弾く)という行為があるからですね。
私は毎日ピアノを弾いていて、弦が鳴っていることを常に感じているので(うっとり(笑))、どちらかというと弦楽器という意識を持っています。打つ(弾く)という行為は弦を響かすためだから。
上記引用文の中に、「ピアノやピッチの明瞭な打楽器類は、打った瞬間は打撃による噪音を発し」とありますが、これはこれは鍵盤をタッチした瞬間に生じる上部雑音と、鍵盤が底に当たった時に生じる下部雑音のことだと思います。これらをコントロールすることについては『ピアノの演奏と知識』(雁部一浩著)や、内藤晃さんの『ピアノでオーケストラを』(ユーロピアノ)にも書かれています。
私はなかなかそんなにうまく使い分けられてないと思いますが、特に繊細な音を出したい時には雑音のことを意識してより耳を澄ましてみています。