再び『モーツァルトの手紙』を読む

だいぶ前に途中まで読んでそのままになっていた『モーツァルトの手紙』(吉田秀和編訳/講談社学術文庫)をまた最初から読み返しています。
心の「師」(弟子にすると言われてないので(笑))の言葉だと思うと、この本は本当にエキサイティングです。読んでいるとまるでモーツァルトが生き生きとそこに存在しているような気がします。本人はまさか、後世自分の手紙が本になって多くの人に読まれるとは思ってなかったでしょうね。思ったこと、感じたことがたくさん詰まっています。そして、随所に音楽に対する思いや考えも書かれていて、本当に興味深い。
前回読んだ時、気になっていた箇所がようやく出てきました。モーツァルト21歳の11月、マンハイムで書いた手紙の一部を引用します。
「今日六時に大演奏会がありました。フレンツルがヴァイオリンで協奏曲をひくのをききましたが、ぼくはとても気に入りました。パパもご存知のように、ぼくはむずかしい技巧がそんなに好きじゃありません。ところが彼はむずかしいものをひいているが、人にはそのむずかしさがわからない。自分でもすぐまねできるような気がする。これこそ本当なのです。」
モーツァルトの価値観が感じられる文章で、印象に残っていたのです。モーツァルトに関する他の本からも、モーツァルトは華美なものや誇張やこれ見よがしなものが好きでないということを感じています。それはもちろん、モーツァルトの音楽からも感じられることで、そういう所がとても好きなんです。
作家ロマン・ロランも讃美したというモーツァルトの手紙。モーツァルトを知る、貴重な資料です。引き続き読み進めます。

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