高齢者の心身の特性・リハビリのセミナー

先日、京都音楽院で行われた、「高齢者の心身の特性・リハビリテーション」というセミナーに行ってきました。5月から始まる予定だった福祉音楽パートナー指導者養成コースに申し込み受講のための面談も済んでいましたが、定員に達しなかっため開講が見送られました(先で開講されるかもしれません)。今回のセミナーはそれとは別のものです。

講師は、理学療法士で音楽療法士の方でした。体力や感覚器官の衰え、かかりやすい病気、それに伴う言語障害などの後遺症、認知症、パーキンソン病などについて具体的なデータや資料を元に説明をされました。様々なケースについて、日々高齢者に向き合って取り組まれている様子が伝わってきました。

特に印象に残ったのは、パーキンソン病の人のリハビリの話です。パーキンソン病の人は足がなかなか前に出ないのですが、たとえばメトロノームのリズムに合わせたり、あらかじめ用意された歩幅の目安になる線を見たりすると足が前に出やすくなることがあるということです。聴覚や視覚を刺激することで脳からの指令が出やすくなるのかもしれません(この辺は心理学の領域になるのでは?と興味深く感じました)。

セミナー前、私が興味を持っていた音楽療法の効用の一つは、心への影響です。けれども今回のセミナー内容の対象となっている高齢者は、体の問題を多く抱えていてリハビリが必要というレベルですから、心身両方への配慮、むしろ体への影響を重視しなければならないわけで、その深刻さについて考えさせられました。例えば、脈拍や血圧が正常でない場合、リハビリは行わない方がいいということもあるわけです。
今回のセミナーでは具体的な音楽療法についての内容は少なかったですが、対象になる人たちが抱えている問題について再認識できました。

そして、音楽療法には関心があるものの、あくまで私が関われるのは音楽レクリエーションというレベル。その中でできること、配慮すべきことについて改めて考える機会となりました。

少し話がそれますが、つい最近、心身に悩みを抱え、何かをやろうという気力も失せていた高齢者が自ら音楽を求めだしたという話を聞き、少し感動しました。それまではそれほど音楽に興味があったわけでもないのに。若いころ聴いていた音楽をまた聴き始め、口ずさんでいるということです。

何がきっかけで、どういう心の状態になった時、人は音楽を求めだすのか、とても興味深いことです。