歌うピアニスト

キース・ジャレット のジャズにとどまらない音楽性に興味を持って、聴き始めるとこれまでとは違ったように聴こえてきました。先日たまたまSpotifyで彼の「ケルン・コンサート」の中の「パートⅠ」が流れてきました。このアルバムは昔からうちにあって(夫が高校生の時に愛聴していたらしいもの)、ずっと以前に何度かなんとなく聞いたことはあるのですが、それほど興味を持ってませんでした。ところが、今回はちゃんと聴いて、驚きました。なんと、素晴らしい即興演奏!約26分間にわたるこの作品はその場で作ったとは思えないクオリティです。最初から最後までが一つのストーリーのように繋がっていて、何か物語のよう。この時の演奏は楽器が予定と違っていたり、困難な状況の中で行われたようで、それにも関わらず歴史に残るほど素晴らしいと書かれているのを、感動した後で興味を持って調べてみて知りました。以前はそれほど惹かれなかったものに、強く魅力を感じられるようになったというのは私自身が変わったからかな?

キース・ジャレットは歌いながら弾く人で、そのことも以前はあまり好きではなかったのですが、でもこれは、彼の中に歌があるということだなと思うようになりました。オスカー・ピーターソンはまるでボーカルのようにスキャットしてますね。別に実際歌ってなくても、歌の感じられる作品や演奏が結局私は好きなんだと思います。歌とは旋律で、縦方向の和声に対して、横にずっと繋がって流れていくもの。一つとは限らず、二声だったり三声だったり。バッハもショパンも歌が大切と言っていたことをいつも思い出します。

ケルン・コンサートとはまただいぶ雰囲気の違う、キース・ジャレットの静かなアルバムも好きです。昔の曲などのアレンジでは、わりと原曲の雰囲気を大事にしている感じで、そういったところにも共感してます。クラシックも弾くし、彼の幅広い表現に大いに刺激を受けています。

今度コンサートがあれば行ってみたいなと思いましたが、予定はなさそうで、何年か前の大阪のコンサートでは、お客さんが咳をしたりしたことに気分を害して途中でやめてしまったらしい(詳しい事情はわかりませんが)。それは残念すぎる!今度もしコンサートがあるなら、どうしよう?やはり途中まででも聴いてみたいから行く、多分(笑)。