リトミックとは?

子ども向けの音楽イベントに携わっている話をすると、かなりの確率で「リトミックですか?」と聞かれます。そのたびに、「いえ、リトミックではないです」と答えています。ところで、何をもってリトミックと言うんでしょうか?

何年か前に、ダルクローズ国際免許を持った先生のレッスンを受けていたことがあります(「「即興」について考える」)。エミール・ジャック=ダルクローズはリトミックを開発した人ですが、彼自身が定めたという免許(資格)を持った先生の研究会の月例会に参加することでリトミックの本質に近いことが学べるのではとトライしてみました。内容はリトミック、ソルフェージュ、即興、鍵盤和声、指導法などでした。結局半年ほどでやめたので大体の雰囲気をつかんだ程度です。

リトミックで調べてみると、色々出てきます。実際のレッスンでは民間のリトミック資格を持ってレッスンされている方、資格とかなしでされている方、色々いらっしゃいます。そのためやり方も様々なようです。ですので、私が児童館で職員さんと一緒にやっているイベントのような、ピアノに合わせて歌ったり手遊びしたり体を動かしたりするのも、ちまたで言われるリトミックと言えなくもないかもしれません。特に0歳から1歳代くらいまでですとできることも限られていますし。多分違いと言えば、ある程度目的意識を持って子どもたちに働きかけるかどうかではないかと思います。即興的な要素もリトミックの特徴でしょう。

音楽遊びというよりもリトミックと言う方が、何か教育的な響きがあるのかもしれません。子どもたちの能力を伸ばす方向に導いてくれる、より価値のありそうなこととして。昔よりも幼児教育の低年齢化も進んでいて、興味を持たれる方も多いかもしれません。

子どもたちへの働きかけですが、私は、楽器が演奏されている、周りの人たちが歌っているというその環境がすでに働きかけになっていると考えています。そんな中で気持ちが高揚したり、歌ったり体を動かしたくなったり自然に音楽環境に反応する、自発性のようなものを大切にしたいと思っています。リズムについてはワクワク感を引き出す方向で少し意識していますが(笑)。あまり反応しない子がいてもそれはそれでいいのです。まだよくわからない、そんな気持ちになれないというのも自然なことです。

また、即興的な音楽ではなくなるべく皆が知っている歌を歌うことで、音楽を共有する楽しさが感じられるのではと考えています。

リトミックとは何かと簡単に説明することは難しいのではと思いますが、私のやっていきたい子ども向けの音楽イベントはやはりリトミックというより音楽遊びかなという感じです。ただ、今後イベントによってはリトミック的な要素をもっと取り入れたりする可能性もあるかもしれません。また色々学びつつ、子どもにとってのよりよい音楽体験について、私なりの考えをさらに深めていければと思います。