シューマン「子供の情景」

ふと、シューマンの「子供の情景」が弾きたくなり、とても久しぶりに弾きました。「子供の情景」は短い小品ばかりですが、バラエティに富んでいるしポリフォニックで素敵な曲がたくさん。一般にはトロイメライくらいしか知られていないのではと思うのですが、もったいない。

「子供の情景」は子供のために書かれた曲集ではなく、シューマンがクララと結婚する前、早くクララと結婚して子供のいる家庭を築きたくて待ちきれず作ったという話を、昔ピアニストの宮崎剛さんのレクチャーコンサートで聞いて笑ったのを覚えています。

日本語のタイトルは次のようです。

1.見知らぬ国と人々について
2.不思議なお話
3.鬼ごっこ
4.ねだる子供
5.満足
6.重大な出来事
7.トロイメライ
8.炉辺で
9.木馬の騎士
10.むきになって
11.こわがらせ
12.眠っている子供
13.詩人は語る

ぱっと見たらおとぎ話のタイトルのようですね。トロイメライだけは日本語に訳されてないですが、「夢」という意味だそうです。

シューマンは文学への造詣も深く、文才もあり、作家になるか音楽家になるか迷った時期があったというくらいで、言葉に対するこだわりが「子供の情景」以外の彼の曲のタイトルからも感じられます。

シューマンは同じロマン派のショパンと同年代で、どちらもバッハを熱心に勉強したようですが、この二人の音楽はかなり違うというのが面白い。ショパンは曲ごとににタイトルをつけない派であるのに対し、シューマンはつける派。タイトルのバリエーションが豊富なのと曲のムードのバリエーションが豊富なのと関係あるのかな?と改めて思いました。

シューマンの本は持ってますが(『シューマン』藤本一子/音楽之友社)、この記事を書くにあたり、調べたいことがどこに書いてあるか探すのも大変だからウィキペディアを見てみると、シラーやゲーテにに強い思い入れを持っていたことを見つけて、ベートーヴェンと同じだなあとまた興味を新たにしました(ベートーヴェンの本 その2)。

「子供の情景」だいぶ色あせてしまっています